ミドリコ雑記帖

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耳管開放症

期間限定で合唱活動を再開することになり、8月の末から歌っていたのですが、この何回の練習中に耳の調子がおかしくなることが続きました。自分の声がやたらと響いて、周りの音が遠く感じます。歯をカチカチすると、水泳で耳に水が入ったときみたいにポーンとなります。呼吸の音が聞こえてうるさいです。

こういう状態になるのは初めてではなく、練習中、声を張り上げたときなどに時々起きていたのですが、不快だけど痛いわけでもなく、寝て起きたらだいたい治っていたし、他人にどう説明したらよいのかもよくわからなかったので、特に気にせず放置していました(ダイビングとかで水圧で耳がおかしくなったときにやるという「耳抜き」とかが効くのかなと思って、それっぽいことを試みたこともあるのですが効果はなく、あああたしってやっぱり不器用(舌も巻けないし<関係ない)と思った)。しかし、練習毎に起きるとなると、これはちょっと困る。練習中、それも勝手のよく分からない所で毎度耳が聞こえにくいというのは、なかなかしんどいものです。何度かの練習で「この状態を起こさない方法」「起きたときの対処法」などを検討してみたのですが、あまり捗々しい結果は得られませんでした。
ちなみに、分かったことは以下の通り。

  • 頑張って歌わなければ起きにくい
    • 変に力の入った歌い方をしなければ大丈夫ぽい。私の発声の課題でもある。でも、練習中にはなかなか難しい。
  • 頭を下げると治る
    • だめもとであれこれ試していて偶然発見。
  • でも、唾を飲み込むとすぐ元に戻る
    • 役に立たない!

という感じで様子を見てはいたのですが効果的な方法もないし、そういえば小学校の頃に滲出性中耳炎をやってるんですがあの類だったらどうしよう(そのときは自覚症状はなかったけど治療はえらい痛かった)とか、さすがにだんだん怖くなってきたので、本日意を決して耳鼻科に行ってきました。引っ越して初めての耳鼻科受診なので初めての病院です。実家にいたときは風邪でも耳鼻科にgoだったので、地元にいたらもっと敷居が低かったのかもしれません。


わりと混んでいたのですがさくさく順番が回ってきて、いよいよ私の番に。「歌っているときに、水が入ったように音が遠くなることがある」「以前から時々あったが、最近は歌うとほぼ毎回起きる」ことを伝えました。
この時点でわたくし、かなり緊張しておりました。不快で不便なのは事実ですがまったく聞こえないわけではなく、痛みもない、原因は主に歌というのでは、取り合ってもらえない可能性が高そう。下手したら、どうでもいいことを気にしすぎとかいって叱られることもありうるなあ……と。


でも、症状を聞いた時点で、先生が怒りだす気配はなし。一安心です。


耳を見たり鼻をみたり、をはさみながら問診。
「どの音が響く? なにぬねの?」
「? あ、はい、な行は響きます」
「激しい運動したあとにならない?」
「運動はあんまりしないので分からないんですが、ないと思います。歌っているときや大声を出したときにになります」
「声楽やってるの?」
「ええと、合唱ですけど」
「最近体重を減らしたとかいうことはある?」
「……体重計がないのでよく分かりませんが、減っているみたいです」
「それだね」
「!?」
抜けてたり入れ替わったりするところもあると思いますが、だいたいこんな感じ。


この症状は耳管開放症といって(さらっと言われたのでその場では聞き取れませんでした。帰ってから検索しました)、耳と鼻をつなぐ管が開きすぎて起きるそうです。原因はいろいろあるけども、体重が減った場合、管の周りの脂肪が減って開いてしまうとのこと。自分の声や呼吸音が響いて聞こえづらくなり、自分の出している音や大きさが分かりにくくなる。「でも指揮者には聞こえてて、何やってるって怒られたりするんだけどね、指揮者みんなすごく耳がいいからね」せ、先生は音楽系の方ですかもしかして。
実際、声楽家の方で、病気で痩せて耳管開放症になり、手術で耳管を狭くした方もいらっしゃったんだそうです。
まあ私の場合は時々しか起こらないのでそこまでする必要はないということ。内服薬も出すけど、とりあえず少し太れ、心配ならまたいつでも来てください、と言われて診察終わり。調剤薬局に寄って帰宅。出されたお薬はカネボウ加味帰脾湯エキス錠というやつで、貧血・不眠症・気分を和らげる効果があるそうで、薬剤師さんにやたら心配されました。


帰ってきて、病名(?)がよくわからなかったのもあって検索。「耳管開放症」という名前である、加味帰脾湯が代表的な薬(でもなぜ効くのかよく分かってないっぽい印象を受けた)、あと、この病気を診断できる医師は多くないらしく、診断がつかないこともあるらしい(!! あながち杞憂でもなかった!!)、などの知識を得ました。
(くわしくは耳管開放症ホームページ耳管開放症、情報交換の場などをご覧ください)



まだ薬も飲んでいないので、実際には何も変化していないのですが、受診後、非常に気が軽くなりました。何か分からない、不快で不便だけど目立った害はない、病気かもしれないけど取り立てて言うほどのことでもない状態に、ちゃんと名前があって、不快さも不便さも決して気のせいなんかじゃなくて、対処法もあるんだ、と分かった安心感は、思っていた以上に大きかったです。また、耳管開放症に関するサイトでは、「自分の声がうるさい」「自分の呼吸音がうるさい」「人にどのくらいの大きさで話しかけていいのかわからない」など、<そのとき自分がどんな感じなのか>について書いてあって、自分でとらえきれていなかった不快感がきちんと言葉にされていて、そのことで思いがけないほど爽快な気持ちになりました。これで、他の人にもいま自分がどんな状態なのか伝えられる! ただでさえ聞こえにくく喋りにくくて、さらに自分の現状をうまく伝えられなくて、それってけっこうな重荷だったんだ、と分かったことも大きな収穫でした。


もし万が一、同じような状態でしんどい思いをしている人がいて、その人が自分が耳管開放症であることに気づくきっかけがちょっとでも増えたらいいな……!と思って、畳みもせず長々と書きました。誰かの役にちょっとでも立てば幸いです。
この先、薬と体重増加でこの症状がどう変化していくかも、書けたら書こうかなと思います(でもだから体重計がないんだよね、うちは……)。