- アーティスト: 小原孝・五十嵐稔・石井里乃,木下牧子,小原孝,五十嵐稔,石井里乃
- 出版社/メーカー: ライヴノーツ
- 発売日: 2010/04/25
- メディア: CD
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『やわらかな雨』は以前から楽譜が出版されており、弾けないなりに友達と演奏したりして楽しんできたので、CDが出ると聞いて心待ちにしてきたのですが、先日、同時収録される『迷宮のピアノ』の曲目を知って卒倒しそうになりました。
「迷宮のピアノ」全6曲
- 愉快なシネカメラ
- ローラ ビーチ
- 夢の結果
- 夢
- ティオの夜の旅
- 夜は決してじっとは
分かる人には分かると思いますが、これみんな、木下牧子の比較的初期の合唱作品なんです。そして「愉快なシネカメラ」と「夜は決してじっとは」は、私のものすごく愛している曲……! これがピアノ連弾で!? これが興奮せずにおらりょうか。
ピアノ連弾なんてこのへんのCD屋じゃ入手は無理だろうと思い、即座にamazonで予約。そしたらさすがkonozamaさんで、発売は4/25だったのですが届いたのは本日でありました(コンビニ前払いにしたので遅かったってのもあるけど)。もう待ってる間に首が伸びきってちぎれるかと思った。
で、これが、もうなんともかっこいい曲集でありました。ハイレベルな技巧が凝らされた『迷宮のピアノ』、シンプルなのにお洒落で恰好いい『やわらかな雨』。<ピアノ連弾CD>って聞いて身構えるような、難解だったり高尚すぎて眠くなったりする感じではなく、楽しくお洒落で素敵な一枚です。かっこよすぎてわくわくして、わけもなく立ったり座ったり歩き回ったりしてる挙動不審な私。
以下各曲の感想です。感想というか、もはやただの妄想になっているような部分もありますが、そういう感想を持った奴もいるのね……てことで適当に読み飛ばしていただけると有り難いです。
『迷宮のピアノ』
- 「愉快なシネカメラ」、ユーモラスでシュールで骨太な疾走感。ただただ恰好いい。
- 「ローラ ビーチ」寄せては返す波のような音。どこまでもひろがるあたたかな音。私の周りには合唱曲の「ローラ ビーチ」を好きな人が多いのですが、私はこの曲、合唱よりも連弾のほうが断然好きな気がする。「人の目が見ていなくても 風景はあるものだろうか」という詩を人の声が語る矛盾とか、ちょっと考えちゃったりして。
- 「夢の結果」この曲だけは合唱バージョンを知りません。軽やかな、細い糸が不思議な絵を描くようなスピード感。なんとなく、「不思議の国のアリス」みたいなイメージ。
- 「夢」けだるい眠いあたたかい、でもすこし不気味な波。寄せてくだけて、でも気づけばまたまつわりついてきそうな。
- 「ティオの夜の旅」つぶやきから始まる眠りの中のシュールな世界。空飛ぶような疾走感、畳み掛けるようなめまぐるしい展開。二つのパートが絡み合い、互いに互いを足がかりにして駆けて行くようなスリル。
- 「夜は決してじっとは」ピアノの音で描き出される大きな宇宙。決して留めることのできない夜空。夜の広がりと星の輝き。手の届かないところにある、大きなものと、ひそやかなものと。
『やわらかな雨』
- 「あこがれ」明るく可愛らしく、絶妙に大人っぽい曲。新しいワンピースとサンダルで出かける初夏の午後、みたいな曲。
- 「一羽のかもめ」この6/8がなんとも牧子さまらしい……! 憂いを胸に秘めつつ、それでもそれらのすべてを見下ろして、はるか空を行くような。
- 「日曜市場」わくわくするようなお洒落な曲。ザバダック好きな人とか好きなんじゃないかな。低音部の刻むリズムの恰好よさと、高音部の大人っぽい可愛らしさと。
- 「追憶」うつむいたてのひらに、しずくのように落ちてくる思い出。ふと空を見上げれば、甘かったことも苦いこともつぎつぎにわき上がり消えて行くようで、手に残るそれらの記憶を、いとおしく握りしめる。
- 「ギャロップ」友達と抜きつ抜かれつしながら走り抜ける夏の道。風の匂い、はずむ声、未来。
- 「夏の夕暮れ」わくわくするような、憂鬱なような、その向こうになにか大きなものが広がっているような。
- 「やわらかな雨」雨を受けてうるおう緑、伸びる草、心地よさげに開く花。水たまりに跳ねる足音、やがてまた静けさを取り戻し、遠くなる野原の風景。
- 「西風のゆくえ」吹き抜ける激しい風。この思いは風とともにどこまで行くのか、という情熱が重ね合わされるような。
- 「祈りの鐘」曇り空に響く鐘の音。鈍色の合間に輝く細い光。
- 「ダッシュ」つぎつぎに展開していく5拍子のテーマ。わくわくする疾走感。
『迷宮のピアノ』は楽譜も近日発売です。
- 作者: 木下牧子
- 出版社/メーカー: 河合楽器製作所・出版事業部
- 発売日: 2010/04/21
- メディア: 楽譜
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ところで、このCDの件で訪れた、とある大通り(笑)でお見かけしたhiromiさんは、ここに書き込みしてくださったことのあるhiromiさんなのでしょうか……? いまここ見てくださってるのかどうかわからないですが、最近どうしてらっしゃるのかな、と思っていたところだったので、ご本人だったならとても嬉しいです。そしてご本人だったなら、『方舟』講習会を受けられたことがとても羨ましい! 行きたかったのですが、東京まで行く気合いはなかったのです。いいな方舟……。