ミドリコ雑記帖

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北村敏則テノールリサイタル

W.A.モーツァルト

  • カンタータ「無限な宇宙の創造者を誉めたたえよ」Kv.619

R.シュトラウス

  • 万霊節
  • 君を愛す
  • 明日には!
  • わが思いのすべて
  • ああ、俺はなんて不幸な男なんだ!

E.W.コルンゴルド
「やさしい歌曲」作品9より1,3,4,6

  • まつゆき草
  • セレナーデ
  • 恋文

平田あゆみ

  • 恋するくじら

信長貴富

  • おぼえているかいあの春を…
  • ヒスイ
  • ぼくが死んでも
  • しあわせよ カタツムリにのって
  • 夕焼け

ピアノ 武知朋子
バリトン(賛助出演) 井上敏典
京都青山音楽記念会館バロックザール

北村先生のリサイタルで、「恋するくじら」があって、さらに信長貴富の歌曲が聴ける!ということで、ものすごく楽しみにしていたリサイタルに行ってきました。
バロックザールは遠いよ……と思ってたのですが、行ってみたらバロックザールでよかったと思いました。広くない会場が満員で、すごい歌い手さんから各地の合唱団員から私のようなキモいファンまで、きーちゃん先生を大好きな人でいっぱいで、始まる前からよい雰囲気で、居心地がよかったです。
で、はじまったらほんとにあっという間でした。飽きっぽくて集中力のない私が、こんなに、ひとつの音も聞き逃せない、って思いながら聞くことってめったにありません。うっかり気をそらした瞬間にもなにかすごいものを聞き落としそうで、もっともっと聞いていたくて、必死でした。楽譜を歌にしてるんじゃなくて、特にシュトラウスとか、いま先生の心に浮かんだことを音にしてみた、としか思えない歌だった。
後半は、うたう劇場の代表曲「恋するくじら」から。演奏会でもCDでも何度も聞いた曲だけど、何度聞いてもいい曲です。ゲストの井上敏典先生のくじらが、何ともかわいらしくてあったかい。先月船の上で恋敵を絞め殺してた人と同一人物とはとても思えない(関西歌劇団の「外套」のミケーレ)。そして、ちょっとお兄さんぽいいるかの、かっこいいやさしさがたまんない。二人で歌われた平田先生編曲の「赤とんぼ」の声の重なりも夢のような転調も、きゅんとくる素敵さでした。
そして信長先生の歌曲ですよ!「夕焼け」なんて、聞いたら泣くにきまってるって分かってたけど、やっぱりすごかったです。祈りの音です。どれもこれも覚悟の上聞いていたのですが、予想外にきたのが「しあわせよ カタツムリにのって」でした。<しあわせよ あんまりはやくくるな><しあわせに あいたいが いまはまだ つめたい風の中にいよう>という言葉が、先生の声で歌われたときの凶悪さときたら。
どうしようかと思いました。ほんと。
そしてこの日はなんと、東京から信長先生がおいででした。お姿はなんども拝見したことがありますが、信長先生が北村先生の歌を聞くっていうのがなんかすごく不思議で、それぞれ別の世界にいた神が出会った!みたいな興奮がありました。そうそう、私の席の何列か後ろは、平田先生と信長先生が並んで座ってる夢空間でしたよ……!

終演後、先生にご挨拶して、「どうでしたか」って言われたので、「最高でした……!」て言いました。あと「長生きできそうな気がします」て言いました。いつもは「格好良すぎて死ぬ!寿命が縮む!」て思うんですが、今日はふわっと心がほどけて、長生きできそうな気持ちになったんです。がんばって生きようって思いました。