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南条あや『卒業式まで死にません−女子高生南条あやの日記』

卒業式まで死にません―女子高生南条あやの日記 (新潮文庫)

卒業式の直後、十八歳で自殺したリストカッターの女の子の日記。

なんだか知ってる薬の名前がいろいろ出てくる……。静脈を切ったり瀉血(!)したりして貧血になり(思わず某吸血鬼ホラーを思い出してしまった)、名前を使い分けて献血に通い、痛いよしんどいよ! と思いつつ、でも、それはなんだか覚えのある気持ちなのです。献血って、はまるんだろうなあ。目の前で血管に針が刺さったり、血が抜けていくのが見えたり、それで人の役に立てたり(でも、抗うつ剤とか睡眠導入剤とか飲んでるのに献血していいのか?)、合法的にマゾヒスティックな気分が味わえるもんねえ。

精神科って、すごくせつない場所な気がしました。薬って、もちろん治るためにもらうんだけど、まだとっても辛いときに「効いてるみたいだから」って薬を減らされるのって、「見捨てられる」気持ちにつながる気がするのです。愛されたい、必要とされたい、って思いから自傷にはしる人ならば尚のこと。それが高じると、治るために医者に行くんじゃなくって、薬をもらうために医者に行く、もっといろんな薬をもらうためにもっと悪化させてしまう……ってことになっちゃうんじゃないでしょうか。

だいたい、薬を飲むのって楽しいんですよね。食後に友人とあれやこれやと薬を飲む場面があったんですが、覚えがあるよ……楽しかったもの。

でも、精神科の薬って効くんでしょうか? 彼女の行動を見てると、素人目には薬の副作用としか思えない症状がいっぱいあるんですが……(ってつまり、かつての自分と重なる部分ですけど……)。健忘とか、睡眠障害とか、パニックとか。

とっても共感しながら読んだから、最後の瞬間、彼女がどんな気持ちだったのか、とても気になります。安らかだった? ほっとした? それとも、やっぱり、怖かった?