ミドリコ雑記帖

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北村薫『月の砂漠をさばさばと』

月の砂漠をさばさばと (新潮文庫)

月の砂漠をさばさばと (新潮文庫)

古本屋で見つけたので購入。実家にはハードカバーがあるんですが。
私の中での北村薫ベスト3に入る作品です。(他の二つは『盤上の敵』と、『赤頭巾』(『空飛ぶ馬』所収)かな。『ひとがた流し』も入れたい)
さらっと読んでしまえば何と言うこともない、他愛ないかわいらしいお話で、でも、これを読んだ次の日、ちょっとゆっくり歩いて、風の感触を感じてみたいな、と思ったりなんかします。「生きているよろこび」って、つまりこういうことなのかな。エステやマッサージではほぐせない、心の筋肉がほどかれるような一冊です。そして、でも、それも、「信じられないようなこと」と地続きの世界の物語だということが、いちばん北村薫らしくて、好きなのです。