ミドリコ雑記帖

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恩田陸『Q&A』『禁じられた楽園』

ネタバレ気味につき、先入観を持ちたくない未読の方はご注意ください。

実に恩田陸らしい作品だなあ、と思いながら読み進めました。魅惑的な謎、壮大な仕掛け、意外な真相、限定された舞台、心なしか筆ものびのびしている気がします。執筆しながら作者も相当楽しかったのではないでしょうか。

『Q&A』、問いと答えだけで物語が進行する、という設定そのものが恩田陸らしい。ちょっと宮部みゆきの『理由』を思わせますが、手段は似ていても描こうとしているものがまったく異なるのも面白い。つぎつぎと繰り出される都市伝説、騙し絵のように姿を変える人物、細部まで描きこまれた絵画を見るようです。

続けて『禁じられた楽園』を読みながら、恩田陸は「理由のない悪意」を描くのが好きなのかなあ、などと考えました。それも、それが善いとか悪いとかいう扱いかたでなく、色とりどりの包装紙でくるみ幾重にもリボンをかけ、とても豪華に飾り立てた箱の中身が実はからっぽだった……というような、なんともいえない違和感を生むものとして存在している感じがするのです。これが宮部みゆき北村薫だったら、善悪と、それにどう向き合うか、という話になってくるのでしょうけれど。これも、どちらが良いとか悪いとかいう話ではなくて、ミドリコはどちらも好きなので、その違いを比較して楽しんでいるわけです。

そういうことを考えながら読んでいたので、『禁じられた楽園』のラストには少々驚きました。そう来たか。ううむ。

ところで、『禁じられた楽園』の装画(ちなみに藤原ヨウコウ)は、まさにタイトルそのものだと思います。夢の中で見る色のような、こんなに美しくていいの、という感じ。