ミドリコ雑記帖

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恩田陸『きのうの世界』

きのうの世界(上) (講談社文庫)

きのうの世界(上) (講談社文庫)

きのうの世界(下) (講談社文庫)

きのうの世界(下) (講談社文庫)

近年、私の中で恩田陸は<大風呂敷の広げ方を楽しむ作家>になっています。どういう設定を持ってくるのか、どういう雰囲気をつくってくるのか、が重要であって、ちゃんとオチがつくかどうか、謎が解決するかどうかは問題ではない、という。……で、そのわりにはまっとうに解決してて驚きました。が、ちゃんと解決した=面白かった、ではなかったなあ……。
塔と水路の町の設定とか、一度見たものを忘れない人とか、新村家とか、個々の設定は面白かったんだけど、それがトータルで興奮するほど面白いかっていうと、私にはそうではなかった……。
でも、私の大好きな『三月』とか『黒と茶の幻想』とかはそもそも謎解きものじゃない気がするし、『夜のピクニック』も面白いと思うけど(結婚してから手放しでいいとは言えなくなった)ありゃミステリじゃないし、『チョコレートコスモス』は完璧にガラスの仮面だし、『中庭の出来事』も謎解きじゃないしな。恩田陸は推理作家じゃなくて、<謎>が好きな人なんだなーと思います。批判してるとかじゃなくて、「ミステリとしてはここが足りない」とかで減点したら勿体ないやん、て感じです。あ、いや、でも、『きのうの世界』は、巻き込まれそこなった。