- 作者: 麻生和子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/08/27
- メディア: 文庫
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坂井三郎の『大空のサムライ』のときも思ったのですが、昔の人の文章の感じが楽しいです。文豪の、小説向けの文章じゃなくて、物書きが専門ではない人の文章に、なんだか時代が感じられます。
それだけじゃなくて、この人の文章は、上品で、ユーモアに富んでて、知的ですごく素敵。そしてすごい環境で育っている……父親が吉田茂で母方の祖父が牧野伸顕……二・二六事件の、史実としては知ってる場面にこの人遭遇してる……!歴史って、遠い昔の知らないところのお話なんじゃなくって、いまこの現在と地続きの話なんだなあって、当たり前のことをいまさら実感したりしました。
細かいエピソードがどれもこれも魅力的で、ああエリートってこういうものなんだなあって感心したりもして。結局昭和史についてはぜんぜん摑めてないし吉田茂についてもあんまり理解が深まってませんが、麻生和子という人にすごく興味を引かれた本でした。