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中山可穂『サイゴン・タンゴ・カフェ』

サイゴン・タンゴ・カフェ (角川文庫)

サイゴン・タンゴ・カフェ (角川文庫)

まだお互いどうしようもなく愛し合い求め合っているのはわかりすぎるほどわかっているのに、わたしたちはお互いに向かって斧を振り下ろして、離れがたいからだを離し、分ちがたい絆を分かち、ひとつに溶けあった魂を力ずくでふたつに断ち切ってみせた。そうして最後は晴れ晴れと笑って別れた。

『天使の骨』ハードカバーが出たときに読んで好きになったので、なんとあれからもう15年になりますよ。衝撃だわあ……。当時わたくしいたいけな高校生でありました。嘘です。あんまりいたいけじゃなかった。ばかだったけど。
タンゴでつないだ短篇集。中山可穂は好きな話とそうでもないのがあって、このところちょっとしんどくて遠ざかっていたのですが、これは私の好きなほうの話でした。ハードだけど。電車の中で読んでたらふいに泣けて困ったけど。「ドブレAの悲しみ」と「サイゴン・タンゴ・カフェ」が特に好きです。