ミドリコ雑記帖

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友達とか

私は昌子のいい笑顔をプーケットから日本に持って帰りたかった。あれが昌子のあるべき姿だった。「セックスになんか十円だって払いたくない」と昌子は言い私も同意したけれど、セックスはさておき、もし友達をお金で買えるなら私は昌子を買う。旅行中私はずっとそう思い続けていた。だから帰国してから同居に誘った。昌子を家にただで住まわせて好きなように遊ばせよう、というのが私の当初のもくろみだった。小説を書くことが昌子にとっての最高の遊びだろうと考えていた。昌子を変えたかったわけではない。むしろ変えられるものなら昌子を取り巻く世界のほうを変えたかった。私は世界を両手で粉々にすり潰し、それを見て微笑むあなたが見たい、ベイビー、ベイビー、ベイビー……。
松浦理英子『裏ヴァージョン』

私はあなたが幸せそうにしてるところを見たい、あなたがのびのびと楽しそうに生きているところを見たい、あなたが私になにかしてくれなくても、楽しそうなあなたのそばにいることを認めてくれるなら私は幸せだ、と思うけど、まるで愛の告白なので本人には言えない。我ながら人に思い入れすぎる性格なのは一応、自覚してはいる。