- 作者: 有栖川有栖
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2007/09
- メディア: 単行本
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どう使うかわかんないけどこれは伏線なんだろうなあ、ていう仕掛けが随所に見え隠れしてるのに、進んでも進んでも回収される気配がなくて、気をもんでたらあれもそれもこれも拾えちゃう解決ルートが示されてびっくり、だけど驚天動地のびっくり仕掛けじゃなくて、紐を解くようにすらりとさりげないスマートさが有栖川らしいなあ。広い知識が次々と披露されるのに豪華絢爛な蘊蓄話にならないところも、関西弁全開なのに泥臭くならないところも(どれもいまさらこの話に限ったことじゃないけども)。
江神さんシリーズは長編五冊、短編一、二冊になる予定だけど不確定のようです。もしかしたら次の長編が江神さんに会える最後なのかもしれないけど、この十三年(しつこいですが私が待ったのは十三年なのです)の彼の不在を思えばどうでもいいわー。ていうか我ながらキモいわー。いつのまにか江神さんより年上になっちゃってねえ……。
「(前略)東京駅のトイレットペーパーをごそっと盗んで、京都御所の壁に落書でもするか?」
「落書きはセンサーが反応するから無理やな(後略)」
(p.231より)
些細なことですが、さすが英都大学、てにやりとしました。私も鳴らしたことあります、あの警報。