藤原伊織『ダナエ』

ダナエ

藤原伊織はいつも巧い。そして切ない。
謎解きとして秀逸というわけではないと思うし、人物の造形や展開はどちらかといえばワンパターンだと思うけども、それがマイナスにはならない。充実した物語を読み終えた満足感と切なさが残る。
今回も絵やら広告業界やらに絡んだ中編(短編？)が三つ。恰好よさっていうのは、恰好をつけようとしなくなってこそのものだなあと思います。いおりん、喋ってはるとただの酒飲みのおっさんだったのになー(笑)。