実に実に池澤夏樹らしい作品。永井均の独我論って、池澤夏樹の対極にあるんだろうなあ。ミドリコはどちらも好きなんですが。
理性でもって物事を見る。できるだけ公平な目で、なるべくいろんな視点で対象を見つめ、考えて、判断を下す。世界に対して自分がニュートラルな場所にいる感じになります。それはそれでひとつの偏見かもしれませんが(なんていいたくなるあたりが、すでに池澤夏樹の影響を受けている気がします)。
みんながきちんと考えて、少しずつ欲望を抑制して、深呼吸して生きるようになれば、明るい未来は夢じゃないのでは、と思わされる物語です。