ミドリコ雑記帖

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佐藤さとる『ふしぎな目をした男の子』

コロボックルの中ではいちばん愛着の薄い本だったんですが、いまになってみるととても楽しく読めます。モチノヒコ老人のエピソードとか、「ぼくは、タケルのほんとうのトモダチだ」とか(あとなんでだか、ヒロシのおじいさんにも)、思わず涙ぐんでしまったりもして。
町なみや家の中の描写が、実際的なんだけどなんともいえずいい感じで、ああ私の原点って本当にここにあるんだなあと思いました。幼稚園のころのいちばんの愛読書だったのです。むしろ、床の升目模様にも無限に世界をふくらませられた小さい頃に読んだからこそ、いまでもすごく夢をみられるのかな。
でもそういえば、佐藤さとるの作品の登場人物はみんなとても器用で、ラジオとか凧とか小屋とか飛行機とか(!)、作っちゃうんですよ。で、作り上げる過程がすごく実際的なのです。「ロビンソン・クルーソー」とか「家なき娘」とかのわくわく感に近いけど、なんか、もっと現実的っていうか、実生活と地続きっていうか(まあ日本の話だし)。
いまだに、ていうか、もしかしたらいまのほうがもっと、そういうところを読むとどうしようもなくわくわくするのです。