ミドリコ雑記帖

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信じられない思いで、訃報を聞きました。
私がご一緒させていただいたのはたった一年でした。直接お話ししたこともあったかどうか、あったとしても二言三言、そのくらいだったでしょう。
私はまだ何にもわからない大学1回生でしたが、先生のピアノが大好きでした。
たった一度、先生の伴奏で歌った定期演奏会で、先生は直前に左手小指を骨折され、それでも「……やっぱり、駄目ですか?」という指揮者の言葉に応えて、九本の指で私たちのために、木下牧子の『方舟』を弾いてくださいました。それがどれだけたいへんなことだったのか、いまになって少しだけわかります。でも、私たちはあの曲を、先生の伴奏で歌いたかった。
いま、これを書いている後ろで、そのときの演奏が流れています。合唱はちょっと情けないくらい下手くそで、でも鬼気迫る勢いで、ピアノは九本指だなんて思えないくらいきれいで強くてせつなくて、先生のこととは関係なく、泣きそうになります。
もう一度、先生のピアノで歌いたかった。間違いだったらどんなにいいかと思います。いまはそれ以上言えません。