ミドリコ雑記帖

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神戸市混声合唱団 秋の定期演奏会[祈りの風景]

 指揮 本山秀毅
 出演 神戸市室内合奏団
 神戸市文化会館中ホール

  永訣の朝(鈴木憲夫)

  清らかな殉教者(Samuel Barbar)
  ストップウォッチと軍用地図(Samuel Barbar)
  アニュス・デイ(Samuel Barbar)

  バビロンの河のほとりで(Edwin Fissinger)
  グロリア(Carl Rutti)

  ネルソンミサ[不安な時代のミサ](Joseph Haydn)
  
   アンコール アヴェ・ヴェルム・コルプス(Mozart)

プロの合唱団でこの曲目、指揮は本山先生、これは行かねば、と楽しみにしていた演奏会に行ってきました。
曜日のせいか、一般受けしなさそうな曲目のせいか、客席は比較的空いていました。学生には受けそうだと思ったのですが、大学生らしき人影もほとんどなし。もったいない話です。

永訣の朝
あっさり始まるなーと思ったらPfがしょっぱなで音を外した……しくしく。ま、それは置いておいて。さすがにうまい。こんな和音だったんだーと驚くところも数々。でも、何か物足りない気がしてしまうのです。うまいだけに、必死な感じがしなくって、あっさりしすぎてて、と思ってしまうのですね。学生合唱団の、「この一曲に一年間賭けてきました!」という、あのおそろしい気迫が似合う曲なのかも。
 
でも、ぴたりと揃ったpの迫力はさすが。<蒼鉛いろの暗い雲から>とか、<うまれてくるたて……>とかね。あと、ほんまもんのアルトが歌うパートソロはやはりすごかったです。テナーかと思った……。
清らかな殉教者
女声合唱。倍音がうわんうわん鳴ってました。邦人曲より合ってる気がするなー、と思っている間に終わってしまいました……。
ストップウォッチと軍用地図
ティンパニ男声合唱ティンパニって恰好いい!ファゴットの次に好きな楽器になりそうです。男声とよく合うし。
アニュス・デイ
本山先生、この曲がお好きですね。(ミドリコも好きですが)もっともやもやして手探りな曲だと思っていたのですが、ひとつひとつの旋律がはっきり立って感じられました。難曲のはずなのですが、困難を感じさせないのです。途中のソプラノソロのHも美しい(笠置雅子先生かな?)。比較的テンポの速い、あっさりした演奏でしたが、でもホールが震えるようでした。
バビロンの河のほとりで
黒人霊歌みたいな曲かと思ったら、各パートのささやきと語りにソロが入る、なかなか現代的な感じでした。カライのSabat Materみたい。
グロリア
難しい曲もなんなくこなしていた神戸市混声ですが、これはさすがに難しそうだ……。でも、変則的なリズムが絡み合って、とても楽しそうでした。テノールソリストがやや力み気味だったのが残念。難しいのは承知で、一度歌ってみたいなあ。
ネルソンミサ
いや、すごい。うまい。どんどん良くなっていくなあ、と、口あんぐりしながら聞いていました。なにせ団員がみなさんプロなので、とっても余裕があるのです。sop.がAから入ってきても苦しそうじゃないし、Gloriaのいかにもハイドンらしいフーガもとても軽やかだし。Credoの盛り上がりがとても素晴らしく、このまま終わっちゃってもいい!という気持ちと、もう一生終わらないでこの演奏!という思いが交錯しました。
 
ネルソンって、いろいろ派手なわりにAgnus Deiはあっさり終わる曲だなーと思っていたのですが、いやいやどうして、なるほど、こう終わるべき曲だったんだ!と思ったり。やっぱりネルソンミサもハイドンも大好きです。また歌いたいなあ。
アンコール
さて、本山先生で、曲目がこれで、となるとアンコールがアレな確率は50%くらい、とにらんでいたのですが、やっぱりAve verum corpusでした。これも、よく演奏されるわりにつまんない曲だと思ってたのですが、違うわ、こういう曲だったんですね。フレーズが大きくとられて、のびやかで、美しい演奏でした。なにかとても静かで大きなものが思われました。こ、こんなふうに歌ってみたい。

行く前は「濃ゆい曲目……」と思っていたのですが、うまい団体が演奏すると、難しい曲が難しく感じられなくて、楽しく聞かれるということがよくわかりました。
歌がうまいっていうことは、それ自体が終着点ではなく、こういう演奏のためのツールなんだなー、ともしみじみ思って、うまくなりたいよう、と一人で悶えながら帰ったのでした。

帰りはJR神戸から新快速。意外と近いんですね。次回からこっちを使おう。