ミドリコ雑記帖

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村山由佳『天使の梯子』

天使の梯子 Angel's Ladder
村山由佳の登場人物って、みんな対人関係に関する自己評価が低くて好きな人を信用してないなー……と思ってたのですが、そしてそれでまた苛々するんだろうなーと思いながら読んだのですが、ちょっと予想外の地点に着地してびっくりしました。
ミドリコは自分の幸福に関してとても貪欲なので、「他人の幸福を願って自分が身を引く」なんてことできません。そうすることで自分に何らかの満足が得られるんならやりますけどね、「あなたがシアワセになってくれるならそれでいいの」なーんて思えない、絶対。だいたい、誰かが身を引いてくれたとして、他人を踏みつけにして得た幸福って嬉しい? 身を引いてもちゃんと幸福なんならいいですけどね、あと、選ばれなくて負けて舞台から去るのも仕方ないですけどね、でも、「あなたが不幸になるのが耐えられないから身を引きます」なんて言われて誰か幸福になれる人っている? いるの? いや、これぜんぜん本編と関係ないんですけど、なんか村山作品ってそういうイメージがあってねえ。
そういう意味で毎回イライラさせられる村山作品なのですが、今回は最終的には気持ちよく読めました。でも、「どうせまたいつものパターンにはまるんでしょッ」と思ってたので、道中はけっこうイライラしてたなあ(笑)なんで年の差とかそんなに気にするんだろ? 理由はわかんないけど、この人なんでか知らないけど自分のこと好きで、一緒にいてシアワセだからいるんだなあって、そういうの雰囲気でわかりません? わかんない相手と一緒にいて幸せ? そんなに信用されてないって、逆の立場に立ったらすごく寂しくない? 相手が自分を好きなことを信じられないって、つまりは相手を信用してないってことじゃないの?
一般常識に照らし合わせてどれだけおかしなことでも、当事者たちが幸福だと感じられることなら貫くべきだし、変に世間に迎合しようとしたら絶対にうまくいかない、って、もう確信ですね。そうじゃないのかな。
……どこが『天使の梯子』の感想なんだか。えーといつも思うことですが、村山由佳の書くラブシーンは、きゅううってなるくらい切なくて甘くて色っぽいです。だからイライラしつつも読みたくなるんだよねー。