荻原規子『RDG レッドデータガール はじめてのお使い』

RDG レッドデータガール はじめてのお使い (カドカワ銀のさじシリーズ)

荻原規子の新シリーズです。
私は荻原規子の描くヒロインの、自分らしくあろうとするところがとても好きなのですが、今回の主人公泉水子は、少なくとも前半部分にはそういう性質が乏しくてちょっと苛々。でも展開上、絶対に＜ただの人＞なわけがないので、なによあんた結局は特別なくせに、と思ってまた苛々。何の取り柄もない人が何の取り柄もないまんま右往左往して頑張る話って何かあったかなあ……思いついたのは加納朋子『レインレイン・ボウ』の一話目の主人公くらいでしたが。
しかし話が展開するにつれ、私の好きな荻原規子らしさが出てきて、どんどん楽しくなってきたところでタイムリミット。深行は実に荻原規子らしい少年ですね！
らしいといえば、どんな設定の話でも、荻原規子の物語には、瑞々しく健やかで、すこし可愛らしくて愛しい芯のようなものがあって、それが好きで読んでるんだなあと今回も思ったことです。
ともあれまだ物語ははじまったばかり、楽しく読めたけれど疑問は山積していて、これからが気になるところ。いつのまにか専業作家になられたようですし、第2巻まであまり待たないことを願いつつ。