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恩田陸『夜のピクニック』

夜のピクニック (新潮文庫)

夜のピクニック (新潮文庫)

全校生徒が一晩かけて80kmをひたすら歩く学校行事<歩行祭>。しんどくて大変で、なのにかけがえのない大切な一日。ホラーでもないしどんでん返しもないけれど、とても恩田陸らしい、気持ちのいい物語です。
この中に混じって歩行祭を体験してみたい、と思う一方で、暗くて友達がいなくて学校がひたすら居心地悪かった高校生の頃、こんなイベントがあったら泣いただろうなーと嫌なこと考えてしまいました。周囲のおしゃべりを耳にしながら、ひとりで踏破する80km。うう、嫌だ。本当に嫌だ。学校に居場所のない人間にとっては茨の道ですね。

……こういうことを考えてしまったのはちょうど荻原規子の『樹上のゆりかご』を読んでいたからかと思います。こないだから『六番目の小夜子』と『樹上』をならべて感想文を書いてみたいと思ってるのですが、『夜のピクニック』も加えてもいいかも。<伝統>に対する主人公の立ち位置、のようなことを考えていたわけです。そしていざ我が身に置き換えてみると、伝統からも高校生活からもはぐれた自分に思い至ったりなんかして……あいたたた。